東京地方裁判所 昭和33年(ワ)5034号 判決 1958年9月18日
原告 長谷川速子
右代理人弁護士 志村篤
溜池肇
被告 カーレントモーター株式会社
右代表者 万年慶一
被告 宮崎精一
主文
被告等は各自原告に対し金百五十万円とこれに対する昭和三十三年六月四日以降完済までの年六分の金員を支払え。
訴訟費用は被告等の負担とする。
この判決は仮に執行することができる。
事実
原告訴訟代理人は主文第一、二項同旨の判決並に仮執行の宣言を求め、その請求の原因として被告両名は共同して原告に宛て昭和三十三年五月四日
(イ)金額百万円満期同年六月三日振出地並に支払地東京都支払場所株式会社第一銀行虎ノ門支店とした外振出人の肩書住所として被告カーレントモーター株式会社については事務所東京都港区芝西久保桜川町二三、工場東京都大田区馬込西二丁目十八と記載し、又被告宮崎については東京都大田区調布千鳥町一〇五と記載した約束手形一通
(ロ)金額五十万円とした外、その他の記載(イ)と同一の約束手形一通
を振出し、原告は現に右二通の手形の所持人であるが、満期に手形を支払場所に呈示して支払を求めて拒絶された。
よつて被告等各自に対し右二通の約束手形金合計百五十万円とこれに対する満期後の昭和三十三年六月四日以降完済までの手形法に定められた年六分の利息の支払を求めるものであると述べ、
立証として甲第一号証の一、二を提出した。被告会社代表者及び被告宮崎精一は通常の方式による適法な呼出を受けたが本件口頭弁論期日に出頭もしないし答弁書その他の準備書面も提出しない。
理由
原告主張事実は被告等において明に争わないので民事訴訟法第百四十条の規定により自白したものと看做される。ところで本件各手形の支払地並に振出地の表示としては単に東京都とのみ記載してあり最小独立行政区劃を表示してないが、支払場所として虎ノ門なる名称が記載してありその名称は相当人口に膾炙されており右名称よりして、東京都港区が支払地であることが推知できるし、又振出地については振出人の肩書として、東京都港区と東京都大田区と二ヶ所の記載があるので、振出地の最小行政区劃はその何れか不明であるが、振出地は元来これにより当該手形の準拠法を定めることを主たる目的とするものであるから、振出地として東京都の記載があれば振出地区記載の目的は達成されているので、振出地の表示として適法なものと解するのが相当である。してみれば原告の本訴請求は正当であるから、これを認容し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八十九条第九十三条第一項本文を、仮執行の宣言につき同法第百九十六条を適用して主文の通り判決する。
(裁判官 毛利野富治郎)